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アメリカの左翼も経済学が苦手

今日、政府は消費税を予定通り来年の4月から8%に増税するという決定を発表しました。

安倍政権によるリフレ政策は、日本に必要なものだっただけに、それをほとんどキャンセルしかねないタイミングでの消費税増税は、非常に残念。しかも目玉対策の一つが法人税減税ではね。赤字企業は法人税おさめてないわけですから。日本の企業の7割が赤字ですから。黒字の大手企業にしかうまみのない法人税減税です。

それに大手企業は派遣を活用しますので、雇用の増加も中心は派遣になるのでしょう。

本来であれば、経済成長が軌道に乗り、失業率2%台にまで雇用が回復し、賃金が上がった段階での消費税増税であれば、社会に痛みが伴わなかったはずなんです。
いま、このタイミングでは、痛みを伴うばかりでなく、税収を増やすことすら難しくなるでしょう。痛みを伴うということは、貧しい人々の生活がますます苦しくなるということです。それなりに所得のある人には痛みは大してないですけども。

ただですね、幸い日本は民主主義国家なので、数年後でもいいので、経済に明るく、かつ福祉国家を目指す政党が出てきて安倍自民に対抗すれば、経済の方向性をより良い方向に変えることは決して不可能ではない…はず。

諦めずに活動していきたいと思います。

さてここまではまた前置きで、ここからが今日の本題です。

一応、自分の経済の考え方を説明すると、「適正な経済成長が必要」派です。
お金それ自体は、富の象徴でも、格差をもたらす悪でもないんです。
分業の世界を生きるわれわれにとっては、お金は、分かち合いの手段(媒体)である、という風に考えています。

こういう考え方は、リフレ派と呼ばれる界隈で良くシェアされています。
わたしは今は、リフレについて良く理解できていないので、自分に対してリフレ派という呼び名は使ってないんですけど。どうも、リフレ派という場合には経済成長を促すための手段に条件があるようで、その辺がわかってないです。なのでリフレ派のことは置いといて。

ところが、わたしの考え方を共有する界隈で良く言われることは、日本のオールド左翼はそういうことを理解せずに、経済成長はしなくていいとか、社会保障費を捻出するために(経済状況がどうであっても)増税しなきゃいけないとか主張する。それは企業の設備投資を減らし、ひいては雇用を減らすことになってしまうんです。

一方、世界の左派は、労働者の味方ということで、雇用を減らすようないかなる政策にも反対し、経済成長を要求している、と、言うのです。そして左派リフレ派の経済学者を見てみろ、といって、引き合いに出されるのが間違いなくポール・クルーグマンさんにジョゼフ・スティグリッツさん。

そういう世界の経済学の当たり前を、日本の左派は理解せずに、とんちんかんなことばかり言って、結局貧しい人々を苦しめている、と、言われております。

でもちょっと調べて見ると、欧米の左派もわりと経済学苦手な感じなんですよ。

リーマン破綻後、いったん持ち直すかに見えた世界経済が、EUギリシャ問題に引っ張られ、不況の出口が一向に見えなくなってきた2011年、オキュパイ・ウォールストリート運動が起きましたよね。その後ぐらいから、英米の記事で「左翼の経済学知らず」への不満が噴出しているようです。

Why Is the American Left So Ineffective in Economics?
(アメリカの左派はなぜ経済学が苦手なのか)

この記事で、「豊かなアメリカ連合」のメンバーであり、『自由貿易はうまくいかない』の著者でもあるイアン・フレッチャーさんは、このように言っています。

1970年代からこのかた、アメリカの左派は、経済問題へのやる気を失っている。40年間、基本的にはニューディール思想が成功をおさめてきたというのに。


その理由は、左派が豊かになってきたせいだ、とフレッチャーさんは言います。みんなヤッピーになってしまった、と。

やはり人間、自分と似た境遇の人の心配をするものです。経済的に安定していると、貧困に陥っている人のことを本気で心配しなくなってしまう。さらに、政治への影響力が大きいたぐいの人々となると、アメリカの所得上位10%ぐらいの人なわけです。残り90%の人々の暮らしのことは身に迫って感じられないでしょう。

ヤッピーが興味あることと言ったら、環境保護、フェミニズム、ゲイの権利、などであって、工場労働者だとか、ウォールマートの店員には興味がない。
そして、経済学を退屈なものだと思ってる。

本当の意味で科学的なセンスを持って経済学に取り組んでいる左派組織はとても少ない。「先進的政治経済連合」と「経済政策研究所」は、タグイマレなる例外だそうです。
そのせいで、この問題に真剣に投資する知的エネルギーがほとんどない。

さらに悪いことに、経済学にチャレンジして、既存の枠組みとは異なる提案をする左派のほとんどは、“船を飛び出して、ファンタジーの世界へ泳いでいってしまう”、というのです。

「ファンタジーの世界へ泳いで行ってしまう」…日本の左派系のあの人やこの人を思い出して、ちょっとクスリとしてしまいますね。笑いごとじゃないですけど。

そんなわけで、左派が経済学が苦手という話は、日本だけに当てはまるわけでもない、ということです。

難しいですよね。経済学を学ぶ人は、金の流れに興味がある。左派といったら、そういうものには興味なさそうですものね。

だから「日本の左派が特殊」というよりもむしろ、特殊なのはクルーグマンさんやスティグリッツさんなのであって、また日本でも、格差縮小・社会保障強化を訴えながら、経済学理解への意欲を持つ人は、少数の例外なのであって、だからこそ、これから、わたしたちは非常に熱心にこの問題と取り組んでいかないといけない、ということなのかなと思います。

まったくの荒野で道を切り拓く「開拓者」だという覚悟をしといた方が、困難に出遭っても「仕方ない」と思えるんじゃないですかね。そうでもないか?

次のエントリで紹介したい記事の、最後の文で、このエントリを終えたいと思います。

We have a lot of educating to do.
(経済学の)教育についてはやることがたくさんある。



(予告)次はこちらの記事を紹介する予定です。
The Absence of a Left-Wing Economics and the Coming of the Lost Decade
(左翼経済学の不在と、来るべき失われた時代)

財政緊縮はゼロサムゲームを強要するもので、金本位制でもないのにバカらしい、それを理解していかなければいけない、という内容になっています。
日本のリフレ派と多くの認識を共有しているエントリだと思います。

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NPR・タイラー・コーエンインタビュー

タイラー・コーエンというアメリカの経済学者がいることを先週知りました。かなり有名な人らしくて、2011年に英The Economist誌で、過去10年間で最も影響力のある経済学者としてノミネートされたそうです。また同年Foreign Policy誌では「世界の思想家トップ100」にランクインとか。
(参考:Wikipedia「タイラー・コーエン」

先日、アメリカのラジオ「NPR」でこの人のインタビューを放送していまして、聞いてみると“AVERAGE IS OVER”という本を出したところだということです。

そこには、なんと、

「アメリカの経済格差はこれからも拡大する」

と書いてあるそうなんですよ。

「それ知ってた!知ってたよ!」

と、つい言いたくなりますけどね。

少なくともアメリカの暮らしは、貧困層の暮らしであっても良くなってきた、と彼はいいます。犯罪率も、殺人率も減ってきた。平均余命は延び続けている。もしどれほど貧困の人でも、健康で文化的な生活が送れるなら、格差があってもいいじゃない?

と、いうわけです。

NPRは左派系メディアですから、インタビュアーがビックリしちゃって、「でも格差は良くないんじゃない?なんか対策しないといけないんじゃない?」とつっかえながら聞くもので、コーエンさんも慌てて「いや格差はもっと減らすべきだと思うよ」とは何回か言ってるんですけど、正直、あんまり興味がなさげ。

なんでも、新しいものが生み出されると、古いものが安くなる。おかげで収入の低い人々でも暮らしに問題がなくなるほど、いろんな生活必需品が安くなる、だからお金を使わなくて良くなる、ということらしい?

たとえば教育。オンラインでインターネット越しに見られる教育コンテンツが、どんどん出てきて、無料で高い教育を受けられるようになる。お金持ちでなくても、インドにいてもインドネシアにいても、高品質の教育を受けられるというのです。

そしてこれからはIT系の、どうしても人間の頭で考えないといけないような部分や、マーケティングとかデザインとか、あるいは教育の分野で生徒のモチベーションを引き出す役割の人などが、突出してお金を得ることができるだろうとのこと。

でも、そういう方向のスキルのない人はどうしたらいいか、っていう目線は、どうもないみたいでした。

一方、同じメディアの別の放送で、スティグリッツさんが、「格差が拡大してきたのは、そういう政策をわれわれが取ってきたからだ。それをなくすために、制度を工夫しなければならない」と言っています。さすが左派、スティグリッツさん。

ただコーエンさんは自分の本について「これは、何がいいとか、何が悪いとか言うための本じゃないんだ。これから先、アメリカがどんな風になるか、レイアウトを示しているものなんだ。それを見て、みんなでどうしたらいいかを考えるためのものだ」と言っています。なるほどですね。

なんてことを書いていたらツイッターでこの人の記事の翻訳タイラー・コーエン 「世界を変えた知識人たち」の案内ツイートが流れてきました。「世界を変えた知識人たち」として、1位にピーター・シンガーを挙げているというのは、実はなかなか深遠な考え方の人なのかなぁと思ったりもします。

「AVERAGE IS OVER」、けっこうおもしろい本なのかも知れません。

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Summers Over ~ ウォール街の夏は過ぎゆく

経済学はどうしたわけか、しばしばいろんな人たちからdisられてしまいます。「経済学は人間が金儲けのために動けば全部おkという論理だてになっていて、金儲けのためにだけ使われる学問」というような感じで。

最近では「欲望のままに金儲けにひた走る時代はオワタ!経済学はオワコン!」と叫ぶ人まで出てきています。経済学の人たちは可哀想に、「そもそも経済学が世間に受け入れられて、始まった状態になったことなどあっただろうか」と途方にくれています。

ところで、最近興味を惹かれた記事がありまして。

ひと言でいうと「経済格差は、社会の生産性を阻害する」というような話です。

「経済格差が良くないって、知ってた!知ってたよ!」

とまぁ、もちろん誰でも思うわけですが。ところが、なんでそれが良くないのかっていうのは、実はちゃんと考えようとすると良くわからない。「人を殺してはいけない」と同じような話です。考えれば考えるほど、どうして良くないのかがわからなくなります。

もしもですよ、いちばん稼ぎの少ない人が、(労働できる状態の場合)一日7時間労働して、通勤15分で帰宅できて、家もあって、十分食べられるだけお金がもらえて、本も読めるし、ある程度娯楽も楽しめるとします。
そんな社会で、いちばん稼ぐ人との差が、1000倍だったからといって何か問題でも?

それでは格差はあっても問題ないんでしょうか。そんなことを突き詰めて考えていくのも経済学のお仕事のようです。

この記事(Inequality – It’s Bad…And It’s About to Get Way Worse)では、格差が社会に及ぼす悪影響について、手がかりとなりそうな研究が紹介されています。

記事中に紹介されている研究(“The Pay of Corporate Executives and Financial Professionals as Evidence of Rents in Top 1 Percent Incomes”)によると、次のことがわかったといいます。

巨大で複雑化した金融機関は社会に貢献するどころか、それらのリスキーな振舞いによって、結局のところ公的資金によってそれらを救済するという手段しか、社会が選択できなくなってしまう。

こうした一種の「破綻保険」を、巨大すぎてつぶせないということでもって、金融機関は利用してきたわけで、それがまた彼らの無謀な行為を増長させてきた。さらに米国の政治の風景までが塗り替えられてきた。金融セクターの巨大化と、規制緩和や法制度の改変は機を同じくしている。それがもたらした種々の結果のうち、どれ一つとして消費者利益となったものは見受けられない。


金融機関がこれほど巨大化し、企業トップなど金持ちや金融屋が巨額を儲けられたのは、レント・シーキングによるものだ、とも書いてあります。金儲けに都合のいいように、議員を動かし制度を変えていくわけです。

ちょっと話がそれますが、昨日、ラリー・サマーズさんが次期FRB議長の候補を辞退しましたね。サマーズは1990年代に金融規制緩和に積極的だった人物。そんなサマーズにFRB議長を任せられるかと、米国リベラル界から猛烈な反対運動が起きていたところです。

関連記事:Summers Over
これ、タイトルがふるっていますねぇ。もちろん、Summer is Overと掛けているんですよね。サマーズの時代が過ぎ去ろうとしている…。サマーズは、金融セクターの春の象徴みたいな存在。そういえば、リーマン・ブラザーズがチャプター・イレブンの適用を申請したのは5年前の2008年9月15日…サマーズさん、わざとですか?

ここでもう一つ、気になる記事があります。新・新左派の台頭
アメリカでは、政治的には、長い事レーガノミクスとクリントニズムの支配下にあった。オバマもその影響下にある、と書かれています。だからオバマはウォールストリートの申し子であるサマーズを経済担当として重用した。ところが、より若い世代は、格差社会に飽き飽きしている。いま米国社会は、クリントニズム(小さな政府、市場任せ)とは正反対の、大きな政府を欲し始めているとのことです。(こちらの記事はもっと興味深い点がたくさんあるので、別の機会に詳しく紹介します。)


さて格差の話題に戻ると、別の研究(“Income Inequality, Equality of Opportunity, and Intergenerational Mobility”)では、親の収入と子の収入との関連が調べられ、多くの場合、親の所得の高低と、子の所得には強い関連があるとのことです。なおかつ、その所得の高低は、親の持つ社会的なコネクションによって固定化されているのだそうです。つまり、子の能力によらず、コネで良い職につける、というわけです。

そのような社会では、ある分野で高い能力を持つ人も、適切な教育が受けられなかったり、ふさわしい職につけないまま、能力を発揮できずに一生を終えることになります。かくして新しい技術やサービスの発展は停滞し、生産性の向上も見込めなくなります。

そして、貧しい人がますます増え、不満が蓄積され、階級間の争いが起こり、街がスラム化するなど、結局、社会全体が不幸になると考えられます。

米国社会ではよく「機会の平等」と言われ、結果の平等よりも尊重されます。ところが、結果が平等である、という状態こそが、機会の平等を生み出すことが、研究で明らかになりつつあるそうです。

スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、こうした格差の少ない社会であれば、親の経済的状況に関わらず、能力に応じて収入を得ることができる。それでも全体としてみると、格差の少ない社会である、そんな社会は実は、新しい技術やサービスを最大限効率的に産み出すことができる。環境と共生する技術も、あらゆる人の人権を最大限に尊重するための新たな制度を作り出すことも、こうした社会だから実現しやすいと考えられます。

日本をそんな社会にするために、金融制度をどんな風に変えていったらいいのでしょうか。経済学しろうとの一般人には難しいです…。

市民目線の金融の専門家が欲しいですが。

原発における小出さんみたいな?えっ?

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(メモ)参加民主主義をうたう人の考え方の傾向

参加型民主主義をうたう某所から。

資本主義における「政府」の役割って、元来はファンド=大きな貯金箱です。現在の日本政府は、「所得の再分配機能として公共の利益を追求する仕組み」がいつの間にか肥大化してきたと言えます。

公的債務の増加についても、再分配を大きく超えて「集まってないのに使う」ことを続けた結果です。さて、これから債務削減に取り組むとして、集まった「所得の合計の一部=税金」以上に「分配」を求めないことが国民に求められます。

明らかに減る分配の原資をどこに振り向けるか、政治の素養はますます重要です。

プロフィール

Author:アリス
資本主義の国のアリス

リベラル&ソーシャル。
最近ケインジアン。

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