金融緩和の即効的効果と遅効的効果

この辺で、自分の頭の整理もかねて、金融緩和の効果についてまとめてみた。

10月31日、日銀が年10兆円~20兆円増(計年80兆円)になる追加金融緩和を発表。株価は上がり、円は対ドルで112円台前半にまで下落した。読売は「日銀による追加緩和は、世界の株式市場を動かした」と報道。日経平均は1万6413円となった。
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(YOMIURI ONLINEより http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141101-OYT1T50126.html

この金融緩和は、庶民の暮らしにどう影響するのだろうか。うちなどは諸事情で事務派遣の私が主たる家計の担い手なので、たいへん気になります。

いまのところ、こんな感じにまとまるのではないだろうか。

  • 即効的効果(レジーム転換、円安、観光客増、株価上昇)
    →実際に効果が確認できている。
    観光客については、今年1月~9月までで9,737,300人が訪日し、伸び率は26.0だという。特にアジアからの訪日が増えており中国からは79.8%増えている。(日本政府観光局 訪日外客数の動向より)

  • どっちでもない(輸出増)
    →円安であるから本来もう少し輸出が増えてしかるべきだが、製造業の海外生産シフトのためにそれほど効果が出ていない。今後円安が続けば少しは影響するだろう。ただいずれにしても輸出関連企業にしか影響がないので、国内の需要増への寄与は少ない。

  • 遅効的効果(製造業の国内回帰、企業の設備投資増)
    →国内回帰については、実際に製造業からそういう声を多く聞く(円安が続けば生産拠点を戻す)ので、そのうち国内回帰が始まるだろう。
    →設備投資増は、現状まだ確認できない。生産拠点の国内回帰が始まれば影響が出るだろう。

生産拠点の国内回帰については、いくつか記事が出ている。
パナソニック、国内回帰の勝算とは:日経ビジネスオンライン
ダイキン、国内に生産回帰-家庭用エアコン年25万台分を中国から滋賀に移管
【今日の言葉】トップ企業の国内回帰 | 分析・コラム - 日本インタビュ新聞社

ここには円安が続けばという企業のもくろみがあるようだ。この傾向がつづくよう、金融政策を継続してほしい。

なお、よくいわれる人手不足については、飲食店・宿泊等のサービス業の人手不足は観光客増によっているのではないか。これは金融緩和からくる円安効果と言えるだろう。

しかし、建設関係の人手不足は、官公庁の発注増によるものではないか。
<参考記事:日刊建設工業新聞 日建連会員4~9月受注、4・7%増/2年連続で7兆円超/9月単月は落ち込み

ひっぱられて保安等の人手もひどく不足している。我が家のダンナの警備バイトも人手がまったく足りていないが賃金は上がらない。企業が、長期的な需要増の確信が持てないからだろう。

<記録として上にリンクを挙げた日刊建設工業新聞の記事を引用>

上半期の国内受注が6兆9050億円(前年同期比2・9%増)、海外受注が4437億円(43・5%増)。国内発注のうち、民間からの受注が4兆2528億円(14・3%減)、官公庁からの受注が2兆6417億円(51・9%増)だった。
 官公庁からの受注は、国の機関が1兆7369億円(69・5%増)と、調査開始(1980年)以来過去最高を記録。東京外かく環状道路の都内区間や福島第1原発事故に伴う除染事業の受注がけん引した。地方の機関からの受注も9047億円(26・8%増)と01年上半期(1兆0060億円)以来の高水準となった。民間からの受注は製造業は7653億円(13・6%増)だったが、非製造業は3兆4874億円(18・7%減)にとどまった。
 ただ、9月単月の受注は1兆4203億円(42・6%減)と落ち込んだ。昨年9月に集中した消費増税の駆け込み発注の反動減が主因だが、官公庁からの受注も3820億円(25・3%減)と18カ月ぶりに減少に転じており、前倒し発注に一段落が付いたもようだ

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