好況になってから増税を、そして中間層にも分配を(子育て、教育、雇用対策)
私は「No More増税」という主張を絶対にしない。好況になれば増税すべきと考えているからだ。
その際、消費税か、相続税か、所得税か、その他か、そのバランスはどうするか、という話になる。専門家に議論してもらうしかないが、とりあえずの感想として中間所得層から上に対してもっと課税するようにすべきだという感触を持っている。そういう考え方だとやはり累進性が効くものが良いので、ぱっと考えつくのは所得税だ。日本の所得税は、中間層(だいたい年収400万~500万ぐらい)から上に対して課税率が低いという調査がある。社会保険料が高いからその分所得税が安くなっているという意見もあるが、そうでもなくて、社会保険料を含めて考えても、他の先進国より低いそうなのである。
【参考】
KYの雑記ログ「再分配のための基礎的指標 「格差の指標」の読み方」)
太田清 「日本の所得再分配―国際比較でみたその特徴」 ESRI Discussion Paper Series No.171 2006年12月
国の社会保障機能を強化していくにあたっては、「貧しい」人々、「可哀想な」人々にだけ注目するのではなく、中間所得層に対しても、子育て費用や教育費などによって、十分に恩恵を感じられるほどに分配していくのが良い。
もう一つ強化してほしいのは失業保険を含む雇用対策である。
今のように技術革新が速く、10年先の事業の継続すら確信が持てないような状況では、雇用が流動化せざるを得ない。現在日本型年功序列がゆらいでいるが、技術革新の状況を見ても、結局流動化は覚悟せざるを得ない。たとえいま正社員で安定しているように見える人でも、事業の入れ替わりが速い時代に、年功序列がゆらぎ、結果としてジョブ型採用が進展していくならば、事業がなくなれば解雇が行なわれる。だから、若者だけでなく、中高年への失業保険を含む雇用対策を国が積極的に行っていかないと、社会がうまく回らなってしまう。
それに、昔よりも長く健康に生きる人が大幅に増えたのだから、できるだけ多くの人が長く働いて、長く税や社会保険料をおさめることが重要だ。長く働ける方が幸福感が高い人も多いだろう。たとえば40代で失職しても、その後も30年働く時代になってきている。それだけの期間働くならば、キャリアの再構築も十分意識されてくる。中高年だから物事を新しく覚えられないなどということはない。頭が固くなっているところもあるが、中高年がキャリアを再構築する時代だという認識になれば、その程度のやりにくさは乗り越えていけるだろう。そうしたキャリア再構築にあたっては国が失業時期の生活費の保障や、再教育の支援をしていくのが良いと思う。
ただし念を押すが、不況の時に増税してはいけない。不況の時には、「財政再建」自体、後回しにすべきだ。
以下の説明がわかりやすい。
不況の時に財政再建をやれば、すべてがどんどん縮小してしまう。社会保障費までも。不況の時はむしろ国が財政出動すべきである。別に役人が頭を絞って予算の割り振りを考えずとも、現金のバラマキでもいい。国が主導して需要を創出しなければならない。その辺の仕組みはこちらのページに書いてあることがわかりやすい。
Turedure Keizai: New Economic Thinking2 資金循環とワルラス法則を基盤とする新たな体系
社会保障強化のためだといって、不況時に増税を叫び、イソップ寓話の北風のように人々の消費意欲と成長意欲をそいでますます国の財政を縮小させてしまう左派ではなく、金融緩和を含むリフレ政策を押し進め、雇用の場がうまれる土壌をつくり、より大きな国家財政と、より良い公共サービスをめざす新しい左派の登場が待ち望まれている。
その際、消費税か、相続税か、所得税か、その他か、そのバランスはどうするか、という話になる。専門家に議論してもらうしかないが、とりあえずの感想として中間所得層から上に対してもっと課税するようにすべきだという感触を持っている。そういう考え方だとやはり累進性が効くものが良いので、ぱっと考えつくのは所得税だ。日本の所得税は、中間層(だいたい年収400万~500万ぐらい)から上に対して課税率が低いという調査がある。社会保険料が高いからその分所得税が安くなっているという意見もあるが、そうでもなくて、社会保険料を含めて考えても、他の先進国より低いそうなのである。
【参考】
KYの雑記ログ「再分配のための基礎的指標 「格差の指標」の読み方」)
太田清 「日本の所得再分配―国際比較でみたその特徴」 ESRI Discussion Paper Series No.171 2006年12月
国の社会保障機能を強化していくにあたっては、「貧しい」人々、「可哀想な」人々にだけ注目するのではなく、中間所得層に対しても、子育て費用や教育費などによって、十分に恩恵を感じられるほどに分配していくのが良い。
もう一つ強化してほしいのは失業保険を含む雇用対策である。
今のように技術革新が速く、10年先の事業の継続すら確信が持てないような状況では、雇用が流動化せざるを得ない。現在日本型年功序列がゆらいでいるが、技術革新の状況を見ても、結局流動化は覚悟せざるを得ない。たとえいま正社員で安定しているように見える人でも、事業の入れ替わりが速い時代に、年功序列がゆらぎ、結果としてジョブ型採用が進展していくならば、事業がなくなれば解雇が行なわれる。だから、若者だけでなく、中高年への失業保険を含む雇用対策を国が積極的に行っていかないと、社会がうまく回らなってしまう。
それに、昔よりも長く健康に生きる人が大幅に増えたのだから、できるだけ多くの人が長く働いて、長く税や社会保険料をおさめることが重要だ。長く働ける方が幸福感が高い人も多いだろう。たとえば40代で失職しても、その後も30年働く時代になってきている。それだけの期間働くならば、キャリアの再構築も十分意識されてくる。中高年だから物事を新しく覚えられないなどということはない。頭が固くなっているところもあるが、中高年がキャリアを再構築する時代だという認識になれば、その程度のやりにくさは乗り越えていけるだろう。そうしたキャリア再構築にあたっては国が失業時期の生活費の保障や、再教育の支援をしていくのが良いと思う。
ただし念を押すが、不況の時に増税してはいけない。不況の時には、「財政再建」自体、後回しにすべきだ。
以下の説明がわかりやすい。
財政再建とは歳入を増やし(増税)、歳出を減らす(財政緊縮)ことです。その影響を見るために、需要とはどのようなものかをみてみましょう。
経済全体の需要は、概ね大きく次のように構成されています。
需要=①民間消費+②民間設備投資+③政府消費・投資+④純輸出
消費税増税は家計の予算に制約を与えるため、①を減少させ、財政再建は、政府支出を削減するため、③を減少させます。・・・以下略
(出典:Turedure Keizai:財出27 新著『日本国債のパラドックス‥‥学』Ver.1)
不況の時に財政再建をやれば、すべてがどんどん縮小してしまう。社会保障費までも。不況の時はむしろ国が財政出動すべきである。別に役人が頭を絞って予算の割り振りを考えずとも、現金のバラマキでもいい。国が主導して需要を創出しなければならない。その辺の仕組みはこちらのページに書いてあることがわかりやすい。
Turedure Keizai: New Economic Thinking2 資金循環とワルラス法則を基盤とする新たな体系
社会保障強化のためだといって、不況時に増税を叫び、イソップ寓話の北風のように人々の消費意欲と成長意欲をそいでますます国の財政を縮小させてしまう左派ではなく、金融緩和を含むリフレ政策を押し進め、雇用の場がうまれる土壌をつくり、より大きな国家財政と、より良い公共サービスをめざす新しい左派の登場が待ち望まれている。
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