悩みは深まる
こういうことを言うと「そんな風にイデオロギーで分裂するから一まとまりの勢力になれず、目的が達成できないのだ」と言われそうだが、わたしの感覚では「そろそろもう分かれた方が、そっち方面の人々(人種差別反対、ヘイトスピーチ反対、格差拡大反対、弱者への社会保障強化賛成といったところの優先順位が高い)にも理解を広げる可能性を増やすことができる。
改めて言えば、「リフレ」はあくまでも、格差の少ない社会、社会保障がしっかりしている社会をつくるための手段であって、目的ではない。
目的は、より積極的な再分配であり、社会保障の強化なのだ。
リフレがなければそれができないのか、と言われると、私の考えではそれは極めてやりにくい。パイが小さいままで奪い合うのと、近々大きくなるという見込みと期待のもとで、その増える部分を分配していくのとではやりやすさが違う。
それに、財政緊縮で締め上げられている欧州で、自殺が増え、極右が台頭してきているのを見ると、リフレは手段で目的ではないから後で考えればいい、とは、とても思えない。手段の中でも最速で手をつけるべき部分である。
そんな風に思っているところに、hamachan先生の「リフレ派は間違っても社会政策に意見するな@甲山太郎&熊沢透」というエントリを見た。
リンクをたどって「hahnela03の日記/あけましておめでとうございます。」を読むと、リフレ派が意見をしてはいけない社会政策というものの中に、増税に絡む政策があげられていた。
それにしても、東日本大震災復興予算を批判したり、瓦礫処理を妨害して、復旧・復興の妨害に勤しむ方達の言動には大変心痛める次第ではありますが、年末年始にかけても、1兆円のファイナンシャルリース(これを批判すると地方鉄道の上下分離方式も自動的に批判しているってことには頭が回らないらしい。)や復興増税(前回の消費税増税時の法人税・所得税減税の是正を含めた、震災復興予算の回収)、消費税(社会保障及び間接税・関税全般の改正)に批判的な言動をみまして、震災の復旧・復興及び日本経済の混迷からの脱却の困難さに恐れおののいております。
前半の「東日本大震災復興予算を批判」「瓦礫処理を妨害」「1兆円のファイナンシャルリース」についてはわからないのでコメントしないが、復興増税と所得税増税に関しては、リフレ派が批判しないわけがない。
なぜなら増税は財政緊縮であり、人々の消費を減らし、需要を減少させ、企業の設備投資、そして雇用を減らし、給料を減らし、デフレへと向かわせるものだからである。
英国がリーマンショック後に金融緩和したのに経済成長が遅れたのは、増税などの財政健全化政策も同時に行ったからだ。
財政緊縮は、景気が良い時に行なうべきものであり、デフレ時に行なうべきものではない、というのがリフレの考え方の基本にある。リフレ派は過度のインフレも好まないので(だからリフレというが)、景気が過熱すれば引き締めるべきという考え方をしている。
上の引用部分に書かれている(前回の消費税増税時の法人税・所得税減税の是正を含めた、震災復興予算の回収)(社会保障及び間接税・関税全般の改正)についても同様で、私はこうした是正に大いに賛成だが、それは景気が回復してからやるべきだと考えている。デフレ時にはそうしたことは先延ばしにして、国の債務を増やしてでも国が金を出していくべきだ。
いずれはスウェーデンなみとまでいかないまでも、相当の割合で税金を取って国が行なう公共サービスを、手続きや執行状況の透明性を高め、監視や議論など市民による関与を強めながら、増やしていくべきだと考えているので、早く景気を回復して、増税へとつなげてほしい。
そのためにも、デフレからまだ脱却できていない内の拙速な増税はなんとしても避けるべきなのだ。
もう一つ、hamachan先生に指摘されて難しいなと思ったことは、リフレ派であってもいまひとつ人種差別がらみの知識だとか、労働規制に関するワキが甘かったりする人々に関してどう考えるかということだ。リフレ以外のところで考えていることや、価値観などで、対立する場合、リフレに関する知識の引用も憚られるだろうか。
一方では全然アウトな感じの人々がいて、そういう人だとツイートのRTも、ブログの引用もする気が起きない。そもそも発言を見に行かない。しかし、高橋洋一氏とか田中秀臣氏とか村上尚紀氏あたりの発信は、リフレに関してはぜひ他の人にもこの情報を広めたいという場面が多い(田中秀臣氏に関しては社会保障に関しても見識があり良い意見をお持ちだと思うのですが…
<注※>田中氏からこの点について誤りであるとのご指摘を受けました。勘違いがありお詫びいたします。氏の見解についてはご自身のブログが正確だと思いますので、こちらをご参照ください。
[話題]ネットでよくある“誤読”の一例(朝日新聞慰安婦問題関連)
<注おわり>
ではあなたはどこでケジメをつけているのですか、何があなたの基準なのですか、と言われても、その辺はいわく説明しがたい。
願わくば早く左派にもリフレの理解が浸透して、別にそういう境目の人たちの力を借りなくても大いにリフレを主張できるようになりたいものです。