消費税増税を延期せよ
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昨年夏、消費税を5%から8%に引き上げる際に、引き上げが妥当かどうか、政府は会議を開いて有識者に問うた。その時の賛成、反対の一覧表はこちら。
(図)
日経はこれらの人々(60人)にこのたびアンケートを送り、うち43人から回答を得、そのうち26人が、予定通り10%への増税に賛成と回答したという。
ということは、アンケートを送ったうち4割ぐらいしか賛成してないわけだが、日経記事のタイトルは「6割」とうたっていて明らかにミスリード。
それはおいておいても、賛成理由がまたひどい。
デフレから脱却できていないのに、増税すれば、結局税収が下がり、社会保障充実も財政再建も遠のくというごく常識的なことが、この「ユウシキシャ」の方々にはわからないのだろうか。
今年4月に消費税を5%から8%に増税した結果、景気は惨憺たる状態になっている。
景気の落ち込みについては多くの報道が見られる。
ロイター 鉱工業生産8月は予想下回る‐1.5%、出荷弱く減産追い付かず(2014年 09月 30日)
ロイター 8月全世帯の実質消費支出は前年比-4.7%、5カ月連続減=総務省(2014年 09月 30日)
YOMIURI ONLINE 増税影響、非製造業の景況感悪化…日銀短観9月(2014年10月01日)
問題なのは、内需だ。日本はGDPの8割以上を内需に依存する。その源泉である個人の景況感も、下の図に見られるように、どんどん落ち込んで来ている。

(図表1)景況感〔Q1、3、4〕より
出典:日本銀行 「生活意識に関するアンケート調査」(第59回)の結果 ―― 2014年9月調査 ――(10月2日)
このまま落ち込んで戻らなかったら、税収の落ち込みによって、今年4月に消費税を3%増税した分まで消し飛んでしまうだろう。
この落ち込みを、去年8月に増税に賛成した有識者の多くは予想できなかった。それなのに、政府は同じ面々にまた意見を聞こうというのか。ちなみに上の一覧を見ると去年賛成した人の中に社会学者古市氏が入っておりますね。さすがですね。デフレ企業万歳。
私は何も、永遠に増税するなと言っているわけではない。それどころか北欧型の高福祉国家になって欲しいわけだから、いずれは税金と社会保険料をもっととって、再分配強化を実現してほしい。
しかし、デフレのままではそれはうまく行かない。デフレで増税したら余計消費が落ち込む。それは雇用の減少、貧困層のさらなる創出と固定化を進める。そしてすでに正社員になって収入が安定している人は、そのままでいれば貨幣の価値が上がっていき生活はますます安泰なので、再分配強化などにはまったく関心を示さないだろう。
再分配強化するためには、経済が少しインフレになっている必要があるのだ。もちろんそれは、実質でだ。インフレが定着してから増税するべきなのだ。そうでなければ、社会保障強化もされず、財政再建もできなくなる。
したがって、ユウシキシャたちが来年の10%への消費税増税を「社会保障の安定と充実のために必要」「財政再建を急ぐ必要がある」と言っているのはまったく矛盾している。
その上「市場が混乱する」というのは何がどうなるのかさっぱりわからない。「債権市場の信頼を失い、金利上昇に見舞われる」といった懸念があるようだが、それに対してはフィナンシャルタイムズの次の評価が参考になるだろう。
さらにノーベル経済学賞受賞者でありアメリカのリベラルとして著名なポール・クルーグマンもこのように警告している。
日本経済は消費税10%で完全に終わります」
約束通り、景気条項に従い、10%への消費税増税を延期することが、社会保障の充実と財政健全化のためにどうしても必要である。
無知なユウシキシャとバカなマスコミに振り回されてはならない。
ユウシキシャでない一般の人々はわかっている。世論調査の方が、正しく状況を判断している。
東京新聞 消費税再増税反対72% 「12月の判断先送りを」
日本経済新聞 「消費税、予定通り10%」が6割 有識者アンケート
(抜粋)
政府が昨年夏に8%への消費増税について意見を聞いた有識者の6割が、来年10月に予定する消費税率10%への引き上げに賛成であることが4日分かった。
昨年夏、消費税を5%から8%に引き上げる際に、引き上げが妥当かどうか、政府は会議を開いて有識者に問うた。その時の賛成、反対の一覧表はこちら。

日経はこれらの人々(60人)にこのたびアンケートを送り、うち43人から回答を得、そのうち26人が、予定通り10%への増税に賛成と回答したという。
ということは、アンケートを送ったうち4割ぐらいしか賛成してないわけだが、日経記事のタイトルは「6割」とうたっていて明らかにミスリード。
それはおいておいても、賛成理由がまたひどい。
賛成理由(複数回答)としては「社会保障の安定と充実のために必要」が69.2%で最も多く、「財政再建を急ぐ必要がある」と「増税をやめると市場が不安定になるリスクがある」が各53.8%で続いた。全国銀行協会の平野信行会長は「引き上げ延期は金融市場に悪影響を与える懸念がある」と指摘した。
デフレから脱却できていないのに、増税すれば、結局税収が下がり、社会保障充実も財政再建も遠のくというごく常識的なことが、この「ユウシキシャ」の方々にはわからないのだろうか。
今年4月に消費税を5%から8%に増税した結果、景気は惨憺たる状態になっている。
景気の落ち込みについては多くの報道が見られる。
ロイター 鉱工業生産8月は予想下回る‐1.5%、出荷弱く減産追い付かず(2014年 09月 30日)
ロイター 8月全世帯の実質消費支出は前年比-4.7%、5カ月連続減=総務省(2014年 09月 30日)
YOMIURI ONLINE 増税影響、非製造業の景況感悪化…日銀短観9月(2014年10月01日)
問題なのは、内需だ。日本はGDPの8割以上を内需に依存する。その源泉である個人の景況感も、下の図に見られるように、どんどん落ち込んで来ている。

(図表1)景況感〔Q1、3、4〕より
出典:日本銀行 「生活意識に関するアンケート調査」(第59回)の結果 ―― 2014年9月調査 ――(10月2日)
このまま落ち込んで戻らなかったら、税収の落ち込みによって、今年4月に消費税を3%増税した分まで消し飛んでしまうだろう。
この落ち込みを、去年8月に増税に賛成した有識者の多くは予想できなかった。それなのに、政府は同じ面々にまた意見を聞こうというのか。ちなみに上の一覧を見ると去年賛成した人の中に社会学者古市氏が入っておりますね。さすがですね。デフレ企業万歳。
私は何も、永遠に増税するなと言っているわけではない。それどころか北欧型の高福祉国家になって欲しいわけだから、いずれは税金と社会保険料をもっととって、再分配強化を実現してほしい。
しかし、デフレのままではそれはうまく行かない。デフレで増税したら余計消費が落ち込む。それは雇用の減少、貧困層のさらなる創出と固定化を進める。そしてすでに正社員になって収入が安定している人は、そのままでいれば貨幣の価値が上がっていき生活はますます安泰なので、再分配強化などにはまったく関心を示さないだろう。
再分配強化するためには、経済が少しインフレになっている必要があるのだ。もちろんそれは、実質でだ。インフレが定着してから増税するべきなのだ。そうでなければ、社会保障強化もされず、財政再建もできなくなる。
したがって、ユウシキシャたちが来年の10%への消費税増税を「社会保障の安定と充実のために必要」「財政再建を急ぐ必要がある」と言っているのはまったく矛盾している。
その上「市場が混乱する」というのは何がどうなるのかさっぱりわからない。「債権市場の信頼を失い、金利上昇に見舞われる」といった懸念があるようだが、それに対してはフィナンシャルタイムズの次の評価が参考になるだろう。
フィナンシャル・タイムズ紙の別の記事では、日本は元々構造的に債券の需要が供給を圧倒しており、世界で唯一、債券利回りの下落が続いていると指摘。自信が強まって余剰資金がリスク資産や実体経済活動に回されない限り、債券利回りは上がらない。同紙は、債券市場崩壊というシナリオを、災害映画に類する「アベゲドン」と呼んでいる。
アベノミクス最初のエラー 消費税増税に海外紙から厳しい声 2013年10月1日)
さらにノーベル経済学賞受賞者でありアメリカのリベラルとして著名なポール・クルーグマンもこのように警告している。
日本経済は消費税10%で完全に終わります」
約束通り、景気条項に従い、10%への消費税増税を延期することが、社会保障の充実と財政健全化のためにどうしても必要である。
無知なユウシキシャとバカなマスコミに振り回されてはならない。
ユウシキシャでない一般の人々はわかっている。世論調査の方が、正しく状況を判断している。
東京新聞 消費税再増税反対72% 「12月の判断先送りを」
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