非定型で非効率な業務に投入される派遣

定型業務的な事務仕事というと、たいてい派遣で、時給で、もちろん賞与などはなく、残業も大してないといったイメージだ。

定型業務というからには、正社員がわざわざ時間を取ってやるのが惜しいような単純労働のイメージがある。えんえんとハンコをついたり、コピー取りだの、紙の書類のファイリングだのといったものだ。

しかし、私は思うのだが、本当に定型的で効率的な状態になっていたら、むしろ派遣でなく社員でこなせるのである。システムで自動入力できるところは自動で入り、下調べ的な突合せも自動的に行われて、最後に人の判断が必要なものだけが毎日レポートで上がってくるようになっているだろう。

いまどき、事務仕事的な派遣が投入される業務は、十分にIT化されていない、どうしても人間が携わらなければならないたぐいのものだ。

会社としてあんまりやりたがらない、気合いを入れてIT投資できない分野に多いだろう。

そういう仕事では、たいてい、人が目で見てカクニンするポイントがとても多くなっている。

人が目で見てカクニンするポイントが多ければ多いほど、また、人が手で情報を入力する回数が多ければ多いほど、間違う可能性は高くなる。

私は派遣仕事を始めた頃に何度か「早くやらなくていい。ゆっくり時間がかかっても間違えないことが重要」と言われたが、結局、プロセスとして間違えるポイントが少なければ、早く間違えずにできるし、間違えるポイントが多いなら、どんなにゆっくりやっても間違える。

仕組みとして、間違えるポイントをいかになくすかが、ミスに対する最大の防御であり、それをやらない限り、いかに人間がゆっくりカクニンしても、ミスは起こるものだ。

だから早くやるから間違える、ゆっくりやれば間違えない、といった話ではないのだ。

OA化によって単純作業がなくなってきたことを批判する人は多いが、私は単純ミスを起こすような仕事はなくなる方が良いと思っている。

企業がきちんとIT投資をして、人間がバカバカしいミスで非難されることがなくなり、そんな非効率的な業務に携わる必要がなくなり、そのかわりにもっと満足感の大きい仕事が増えると良いと思う。
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