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分業と残業時間の関係

ITProに最近掲載された「日本だけ!「SIガラパゴス」に明日はあるか」を読み、興味を惹かれた一節があった。

SIガラパゴスにとって、最初の危機は業務パッケージという名の外来種の侵入である。中でもERPは最強の種族。SIerは生業の全てを奪われる恐れがあった。ところが、SIerはカスタマイズというERPへの寄生手段を見つける。しかも寄生してしまえば、ERPが脱皮(バージョンアップ)するたびに、アプリケーション保守という新たな生業が生まれる


これを見て、ふと「よくわからん。欧米も同じじゃないの?」とツイッターでつぶやいたら、フォロワーさんから「あまりカスタマイズせずに使うんです。くそほど使いにくいですがね。強引に社内を説き伏せます」というリプをいただいた。

また、別の方から、「欧米の企業会計は一程度統一されていて、モデル化された経理・財政管理のシステムにマッチするんですよ。日本の場合、商取引の方法論や下請け構造の違いなどもあってグローバルスタンダードにマッチしない法制度が存在しERPでは不足」というリプもいただいた。

私がいま派遣されている会社では、数年前からERPを入れているが極めて不評で、MSアクセスで別のシステムを作ってしまった※。何しろERPはアクセス権限の設定がおそろしくキメ細かくて、不自由だったし、出力できる情報もひどく限定されていて、使えなかったという。
※ERPと業務システムが別につくられることは多いので、これはこれでふつうな気もするのだが、部署の人がERPに接続された別の不自由な業務システムと混同しているかもしれない。

それで思い出したのは、アメリカで開発された営業管理システムセールスフォースで、前にいた職場で研修に行ったが、データに対するアクセス権限は非常にきめ細かに設定できる。そして組織の分け方と、アクセス権限の設定を一致させて使うのが基本のようだった(もちろん縦断する設定もできるのだが)。

こうしたことは、どうも日本企業の「分業下手」と通じているような気がしてならないのだ。

もやもやとそんなことを頭の隅に置いていたが、金子良事さんの『日本の賃金を歴史から考える』にまたヒントとなることが書かれていた。

20世紀初期にアメリカで発達した労働の科学的管理法は、作業を機能別に細分化して、それぞれのコストや時間や生産性を科学的に管理するというものだった。そして作業を計画・指示するスタッフ部門と、実際に作業するライン部門を厳密に分ける制度ということだ。

それを読んで思ったことは、日本でもそれは導入されたのだけど、欧米ほど、人の考え方としては、ついに定着しなかったのではないだろうか。

私の今の派遣先の部署では、業務量が多いので人を増やすということになったが、横割りにではなく縦割りに分割されようとしている。1から10までの流れを全部わかる人を増やしていこうというのだ。これだとスケールしないし、アクセス権限に制約をかけることも難しくなる。たとえば、物流の注文処理と運賃処理を別々の人がやるなら、運賃処理する人が発注情報を見なくて良いが、一人が全部の機能に携わる場合、すべての情報にアクセスできなければならない。

また、欧米の科学的管理手法がめざしたように、ライン部門と、それを管理したり、業務を企画するスタッフ部門が分かれている場合、ラインの従業者は自分の仕事が終われば帰れる。全体にどこまで進捗しているかを把握する必要はないのだ。しかし全部を見なければならないとなると、話は別になる。

前の職場でもそうで、10人ぐらいの職場だったが、そのすべての人が、他の全員が何をやっているか把握して、いざというときはカバーできるようにしようとしていた。だから何というか、感覚的には、本来すべき業務量の1.5倍以上のボリュームがあったような気がする。

こういう仕事の仕方は、良い面もあると思うのだが、少なくとも残業について言えば、長時間化させている張本人と考えられるのではないだろうか。また、「休めない(有給休暇の取得率が悪い)」状況をつくりだしているのも間違いないと思う。
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分業と残業時間の関係 - throw ideas into shape

分業と残業時間の関係というエントリの中で『日本の賃金を歴史から考える』が参照されています。こういう利用のされ方はとても嬉しいです。ありがとうございます。 このエントリは日本の働き方の核心を捉えていると思います。仕事の量が1.5倍になっても、誰かが出来なくなったときにカバーできるように、ローテーションを組む。 こういう仕事の仕方は、良い面もあると思うのだが、少なくとも残業について言...

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