山本太郎議員が、松尾匡本を読んで「緩和マネーで財政出動」を訴えている

今朝、松尾匡先生のサイトを見たところ、4月3日に放映された「日曜討論」での山本太郎氏による驚きの発言が紹介されていました。

山本太郎参議院議員の「日曜討論」の発言がすばらしすぎる。いちいち全くそのとおりだ!! 「タローノミクス」と呼ぶそうですけど、「緩和マネーを大胆に活用して、子育て・教育・福祉に財政出動を」だって。ほんの一年ちょっと前の「タローノミクス」は、超弩級のトンデモ論だったのに。いったい誰がいつどう吹き込んで変ったのか。悪い本でも読んだのでしょうか(笑)。こっちの献本先には入ってなかったのですけど。全く予想していなかったことでうれしい驚きです。

ご本人からメールをいただき、ホントに「悪い本」をお読みになったとのことでした。誠にありがとうございます。
MATSUO'S PAGE (トップページ) http://matsuo-tadasu.ptu.jp/



松尾先生のいう「悪い本」↓※実態はすばらしい本ですよ(念のため)




いやいや、これは本当に「うれしい驚き」ですよ!

山本太郎氏と言えば、「反原発」のイメージしかなかったのに、いつの間に松尾先生の本など読むようになったのでしょう。

政党「生活の党と山本太郎となかまたち」も、「反原発」のイメージが強いです。経済政策としては「景気対策」というよりも「反貧困」を主張しているイメージ。

いや、私も原発反対ですけど。でも政党として前面に出すのは、いまなら景気対策でしょう。原発だってもとは、地方の景気対策でした。地方で、他に有効な対策がなく、地元の人は苦渋の判断をしたということがあったわけです。

「反貧困」と「景気対策」って、つながっているようで、深いミゾがあるように思います。「反貧困」というと、対策の対象となる人は、誰が見ても不幸であって、そうでなければ、取り上げてもらえないようなイメージ。(もちろん、取り上げて、対策しなきゃいけない。だけど、同時に、もっと広い対策が必要だと思います)

「景気対策」だともっと対象が広くて、大勢の人に影響があるイメージです。

OECDが、2014年に「トリクルダウンは起こらなかったし、所得格差は経済成長を損なう」という報告を出しています。

成長への悪影響の最大の要因を低所得世帯とそれ以外の所得相関の格差であり、その悪影響は最下位10%のみならず、下位40%までの全ての所得層にまで及ぶとします。つまり、貧困の問題に取り組むだけでなく、より広義に低所得の問題に取り組む必要があるとのこと。


「下位40%までの全ての所得層」の所得を向上させながら、累進の効く課税を強化して、社会保障を強化していく。それがすなわち、貧困対策にもなります。

しかし、ちょっと不思議なんですよね。

このところ、日本では、左派が、金融緩和を批判したり、資本主義を批判したり、財政再建が重要などと、景気対策とはまったく反対の主張が多いように感じていたのですが、生活の党立ち上げ時には、「財源どうするんだ」とマスコミに非難されるぐらい、景気対策を打ち出していたんです。

小沢一郎氏が新党『国民の生活が第一』を旗揚げした。増税はしません、欲しいものは何でも差し上げましょう―というのでは、選挙だけを念頭に笑顔の瞬間風速を追っていると疑われていも仕方がない
2012年7月12日付の「編集手帳」(『「編集手帳」の文章術』より)



消費税増税に反対する小沢一郎氏が民主党を離脱し、新党『国民の生活が第一』をつくったときです。財源の問題は避けて通り…バラマキとも映る諸政策の実現を約束する小沢新党を、読売新聞の社説は「大衆迎合的だ」と批判
(『「編集手帳」の文章術』より)



2012年頃だと仕方なかったんですかね。なにしろ当時は、財政再建派がハバを効かせていて、「財政規律がゆるむと国の信用がなくなり国家破たん」とか「国債を増やすと後の世代にツケを残す。財政による児童虐待」などなどのトンデモ説が勢いがありましたから。安倍自民党も強烈に増税推しでしたし。

でもいまは、かなり情勢が違います。多くの「識者」が、2014年増税後の景気の落ち込みを見て、「これほどとは…」と絶句。

増税とは財政出動の逆で、世の中のお金を吸い上げてしまう行為です。財政出動の逆をやって景気が落ち込むなら、財政出動をうまくやれば、景気は上昇するでしょう。国家債務の増加が不安なら、松尾匡先生の本を読めば、いかに低金利のいま、国債を増やすことが無問題であるかわかります。金利が上がる兆候があれば、すぐに対応できる金融ツールも、現代のわれわれの国には準備があります。

生活の党も、MMT専門家を雇った米大統領候補者のバーニー・サンダース氏みたいに、アドバイサーに松尾先生を雇えばいいのに!

※バーニー・サンダースは、米国で今年行われる大統領選の民主党候補者の一人。自身は財政規律重視派ながら、当面は、「中間層を立て直し、賃金を上げ、他の先進国のどこよりも高い貧困率を必ず下げ」るために、国家債務は問題にならないと理論づけるMMT経済学の専門家をアドバイサーに雇っています。

参考:(拙訳)長年無視されてきた経済理論が見直されている

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